うつ病とどう向き合うか

前回のお話の中では、ストレスから離れることをお願いしました。
ストレスから離れるという事は、それについて考える事も止めるという事です。
会社をしばらくの間休むことにしたのに、家にずっと閉じこもってあの時ああすれば良かっただとかどうすれば復帰できるのかなどを考えていてはストレスから離れたことにはなりません。
では復帰に向けてどのように過ごしていけば良いのかお話ししていきます。
とにかく好きなことだけをやる
思考が正常ではない状態ですので、まずは仕事のことや今の自分の状態、どのくらい休むかなど現状について考えることは止めましょう。
休職期間のお尻を決めてしまうとそれまでに治さなくてはと、その制限にまたストレスを感じてしまいます。
確かに休職期間はうつ病を治すための期間ではありますが、風邪をひいたから安静にして治しましょうというのと同じではありません。
自分がストレスを感じない空間に身を置いて、心に喜びや楽しさを与えてあげることで脳の伝達物質放出量を正常に戻さなくてはならないのです。

でもうつ病になると楽しいとか嬉しいなどの感情も湧かなくなるって・・
ですから症状が重い人にしてみれば、もしかしたら趣味で楽しんでいたことでさえ楽しさや喜びを感じることができないかもしれません。
そのような時も無理に何かをやろうとしなくて大丈夫です。
私の場合では、仕事に関係する物に拒否反応を示し友達でさえ人と関わる事もストレスになり出かける事すらままならなかったので、家の中で頭に入ってこないテレビを点けてじっと座っているだけでした。
それで良いのです。
頭の中を空っぽにすると言うか不要な感情は自分の中に持ち込まないと言うか・・・
もしあなたが日頃からやっている趣味があってそれをやっている時だけは笑顔になれるとか安心できるというプラスの感情が持てるならば、ぜひそれをやってください。
「〜しなければならない」という責務を自分に与えないようにしましょう。
休職期間を定めない
前節でも触れましたが、いつまでに復帰するという期間の終わりを決めてしまうと十分な治療にはなりません。
当然勤め人として企業に勤めている人であれば就業規則がありますよね。
例えば最初の6ヶ月までが「病気休暇」、その後最長3年間が「病気休職」などの定めがあると思います。
この休暇・休職の定めについては、労働基準法やその他の法律により義務付けられているわけではない。各社の就業規則により設定が異なるため必ず確認すること。
一般的な流れとしては、最初に心療内科などの病院を受診し医師の診断のもと診断書を発行してもらいます。
この診断書に『うつ病治療のため約1ヶ月の療養を要する』などと書かれるわけです。
正直なところ医師によってこの療養期間の定めはさまざまです。
患者と話して軽度だと思えばまずは1ヶ月薬を服用して療養しながら様子を見ましょうという場合や、患者にどのくらい休みたいかと聞いて3ヶ月にしたり6ヶ月にしたりします。
私がのちに疑問に感じたのは、身体の状態を患者の申告した内容だけで理解し療養期間を決めるなんて医師でも難しいはずなのにこの期間は何をもって決めるのだろうというものでした。
ただ私は自分の当時の状態が辛かっただけなので、その指定された期間について特に感じることもなくとにかく休めれば良いという感情だけだったのです。
この診断書をもって会社側は休暇期間を定めるわけです。
多分自分がうつ病であると認めることに苦労した人は、毎回病院に行くことも憚れると思います。
しかしこの通院は会社に休みを認めてもらうためのものであると割り切ってしまってください。
もちろんうつ病を治して元の正常な自分に戻すためでもありますが、病院で処方される薬は一時的に気持ちの安定を図るものや眠れない人のための睡眠導入剤などであるため、うつ病そのものを治してくれるものではありません。
そして診断書に1ヶ月と書かれたからと言って、1ヶ月以内に治さないとという感情は持たないでください。
会社側は1ヶ月後には復帰してくると思っているかもしれませんが、あなた自身はその終わりを気にするのではなく自分の心身の状態だけを気にすれば良いのです。
その先はあと1週間で診断書に書かれた療養期間が終わるという段階で、自分自身まだ状態は変わっていないと思えば再度新たな診断書を書いてもらえば良いのです。
回復して意欲もあり感情も体の不調も整っていると感じれば、復帰すれば良いだけのことです。
頭でいつまでに治すと考えるのではなく、常に自分の心身の状態と向き合って決めてください。
本当に治っている時は重かった頭の中がスッキリしているのが分かりますし、やる気も感じられこれまでの自分の状態と全く違うことが本当にはっきりします。



期間が来たからとりあえず復帰しようではなく、本当に自分の調子が戻っていることを実感できた時が復帰の時なんですね。
復帰に向けてやりたいこと


前章でお話しした通り、自分を縛ってしまうものを取り払い本当の意味でリラックスできる状態になった後に少しずつ復帰に向けて取り入れたいものについてお話しします。
心身の回復に有効なことはコレ!
休み始めのうちは何もやる気が起こらないと思います。
しかし私のようにずっと座ったまま一日中ほとんど動かないのは、当然体にも良くないですし実はメンタルにも良くないのです。
前回の記事でもお話ししましたが、脳から発せられる神経伝達物質が正常に発せられていないため意欲の低下などが起こっています。


その神経伝達物質が正常に分泌されるよう自分でも何か行動しないと、復帰時期まで時間がかかってしまうのです。



自分で症状を回復させる方法があるんですか?
ズバリ!それは「運動」です。
さらに言えば、汗をかくくらいの筋力トレーニングがなお良いとされています。
簡単に言うと1日20分程度の筋力トレーニングで、脳が活性化され神経伝達物質が増えるということなんですね。
これについてはアメリカの研究チームにより研究結果も発表されている内容です。
スポーツジムなどに行く必要もなく、自宅でできる簡単な筋トレで大丈夫とのこと。
毎日の筋トレにより神経伝達物質量が増え、記憶力の増加や集中力、意欲などにも関わってくると言われています。
【参考サイト】


実際に私が実行したのはRIZAPでした(笑)
私の場合は前述の内容は全く知らず、単純に休み始めてから半年以上経った頃に骨盤が痛み出したことがきっかけでした。
整形外科に行くと、体重が増えると腰に負担がかかりそれを庇うように歩くため脚の付け根や骨盤辺りが痛くなることがあると言われたのです。
それを聞いて、それまで嫌なことから目を背け観ないテレビを点けたままずっと座って好きなことをしていたため、自分の容姿がどうであるかなど出かける時以外気にもしていなかったことに気付きました。
当然自分が太ったことは薄々気付いていましたが、それを気にしてしまうとまたそれがストレスになってしまうので見て見ぬふりをしていたと思います。
当時点けていただけのテレビでよく流れていたCMが、誰もが一度は観たことがあるであろうあの有名なRIZAPのCMだったのです。
太ったことで体に痛みが出るなど過去に一度もないし、これはちょっとさすがに恥ずかしいなと感じ始めたのがきっかけです(笑)
なかなかの危機感を感じた私は、意を決してRIZAPへ話を聞きに行くことにしたのです。
RIZAPのおかげで全てが好調に回り始める
特に私はRIZAPの回し者ではありません(笑)
テレビのCMではRIZAPのモデルさん(当時はまだ芸能人の方は出ていませんでした)が、回る台の上に立って台が回転すると軽快な音楽と共に「2ヶ月後」というタイトルで引き締まった美ボディを披露していました。
そんなわけないと思いつつ、当時の私はなんでも良いから動かなきゃダメだと神に縋る思いでRIZAPに足を運んだのです。
結果から言うと、2ヶ月でー5kg、トータル7ヶ月でー15kgのダイエットになりました。



マ、マイナス15kg!?
まぁどれだけ体重増やしてたんだ!?という話ですけど・・・(笑)
今回はダイエットの話ではないので肝心なことをお話ししますね。
この時はとにかく痩せないとという一心と高いお金を払ってるからとにかく続けないとという思いでひたすら通っていました。
するとそのうち通ってトレーニングすること自体が楽しくて気持ち良くてしょうがない感覚になっていったのです。
最初の数週間は、トレーニングの帰りにすでに腿の筋肉がプルプルになり駅の階段を降りることもままならなかったほど厳しいトレーニングでした。
それでも逆にそれが楽しいというか嬉しい、そんな気持ちだったことを覚えています。
そのうち自分の体型が変わっていくこともハッキリ目に見えて、もちろん体重も減って。
それと並行するかのように気持ちが明るくなっていくこともハッキリ感じて、「気分が良い」日が明らかに増えていったのです。



恐るべしRIZAP!
その時のトレーナーも言ってました。
「運動は気分を上げるんですよぉ〜」と。
その時は詳しく知らなかったのでそうなんだぁ〜程度に聞いていましたが、その後だいぶ先になってから調べ物をしていた時に、この脳の働きと運動の関連性を知って確信したのです。
それからはうつ病初期の頃とは異なり、自分の考え方や感じ方が何においても確実にポジティブになっていくのを感じました。
休んでいるうちに何かをしたいという意欲も湧いてきて、少しずつやってみたいことを始めていったのです。
脳から発する神経伝達物質が安定してきていたからか、何をやってもおもしろいと感じることができ自然と気持ちが明るくなっていくのを実感しました。
新しいことを始めた結果自分の周辺に嬉しいことがいくつも舞い起こり、ついには仕事についても「今なら戻れる!」と感じ始めたのです。
筋力トレーニングまたは汗をかく程度の運動は、脳の正常な働きを促す効果がある!
休むにあたっての注意事項


うつ病だと分かったら、頑張らず我慢せずとにかくその要因となったものから離れるようお伝えしてきました。
しかしながら現実問題、休んだからと言って本当に何も考えずただ好きなことだけをして心に余裕を持たせることが可能かどうかという部分に触れなければなりません。
金銭問題について
根本は余計なことを考えず自分の心が落ち着くことだけをして、穏やかな生活を送ることがベストであることに変わりありません。
しかしそこで実際どうしても切り離せない問題もあります。
企業によっても制度が異なるので一概には言えませんが、一般的には休職すると無給休暇になります。
つまりは収入がゼロになるのです。



え!!じゃあ貯金がない人は生活できなくなるじゃないですか!
単純に言うとそういうことになってしまいます。
しかし通常健康保険に加入している労働者は、傷病手当金という保証制度の対象になります。
一定の条件を満たせば傷病手当金の給付の対象になるため、月額報酬全額とはいきませんがある程度の生活費は得られるということになります。
病気やケガで会社を休んだときは傷病手当金が受けられます。
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、
全国健康保険協会
被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
ただし毎月のお給料でギリギリな生活をしていた人にとっては、手当金だけでは厳しく結局お金が原因で休めないという人もいるかもしれません。
私の場合は住宅ローンの支払いもあったので、休んでいる間の住宅ローンを猶予してもらうなどの措置をして何とかクリアしてきました。
また収入が減ってしまうにも関わらず社会保険料は変わらず負担を続けなければならなかったため、別途手当金の中から会社へ社会保険料分を振り込んでいました。
休職中でも社会保険料(健康保険料(介護保険料を含む)・厚生年金保険料)は免除されませんので、従業員負担分・事業主負担分ともに保険料を納めることになります
ペンデル税理士法人
休めと勧めておきながらあとからこの重要な金銭問題を提示するのもいかがなものかと思いますが、家族の助けを借りてでも『休む=ストレスから離れる』ことを優先にして欲しかったのです。
しかし収入がないことによって生活が苦しくなりそれがまたさらなるストレスとなっては元も子もないので、ここについてだけは家族との相談も欠かさないようお願いします。
交友関係について



友達に自分がうつ病だとは言いづらいですね・・・
言いづらいという思いもそうですが、うつ病になってしまうと他人との交流に恐怖を抱く人すら存在します。
また友達からの「休んでるって聞いたけど大丈夫?」の心配の声すらも、煩わしいとか聞かれると責められているように感じるなどと捉えてしまう状態である可能性が高いのです。
私自身がそうでした。
職場は違えど同じ会社の親友とも呼べる人からの心配のLINEも、「放っておいてくれ」と感じる状態だったのです。
弱い人だと思われたかもしれない、情けないと思われているかもしれない、そんなことで休むなんてと蔑まれているかもしれないととてもネガティブに捉えてしまっていました。
親友にしてみれば、本当に心配して何とか力になれないかと「話を聞くことしかできないかもしれないけど、良かったら食事でもしない?」と気遣っているだけなのに。
外出するなんてとても出来ないし、誰かに話して解決するとも思っていないし、本当に放っておいてくださいという感覚だったのです。
ちょっと話してみようかと文字にしてみれば後ろ向きな言葉ばかりになってしまうし、外への誘いに関しては断ってしまうしで、親友の方もどんどん離れて行ったのを今でも覚えています。
その時はその親友の気持ちなど考えることも出来なかったし、むしろ離れていくならそれで構わないと大きな壁を作っていたと思います。
しかし後に心が回復してきた頃には気づいたら友達とも疎遠になっていて、なんてことをしてしまったのだと申し訳ない気落ちでいっぱいになりました。
その後職場復帰してから自ら報告と謝罪のために連絡をした際には、とても喜んでくれて快く私を迎え入れてくれたことが有り難く感じたものです。
うつ病になると自らの手で友達を遠ざけてしまうことも。
最悪友達との関係性も形を変えてしまう可能性があることを覚悟して、病気を治すことに専念しましょう。
本当に必要な関係であれば、一時的に疎遠になっても必ず元に戻れるはずです。
休んでから復帰するまで


人それぞれ復帰できるまでの時間は異なります。
その人にとってのストレスとなった要因の度合いや、完治していなくても体裁を気にしたり金銭問題が解決できなかったりなど復帰時期はさまざまです。
早い復帰が良いわけでもなく、ダラダラと長く休むことが良いわけでもなく、休み始めてからの過ごし方と徐々に自分の状態を回復させられるかが大事なのです。
何かをやろうと思わないこと
前回の記事でも話した通り、うつ病になりやすい人は性格的に何事も真面目にきっちりと捉えやすい傾向にあります。
すると休んでいること自体を「悪いことをしている」と考えがちです。
ですから早く復帰するために何かをやらなくてはいけないと考え、どうしたら病気が治るのかなぜこうなってしまったのかをしきりに考えてしまいます。
それをやっていると、結局自分がうつ病になった要因とずっと向き合っていかなければならなくなります。
休む休むと言っていますが、本来の目的は『うつ病を引き起こしたストレスから離れる』ことです。
とにかく自然と回復するまで何かをやろうと思うのはやめましょう。
自然と回復に向かうタイミングはやってきます
うつ病を引き起こした要因から正しく離れられていれば、脳の働きも身体の状態も徐々に正常に戻っていきます。
そうなって初めて何かをやろうという意欲や、やりたいという願望が現れてくるのです。
意欲の湧かない自分を無理矢理鼓舞するのではなく、考えなくても自然と心がそう望む時が来るのを待ってください。
何かをやりたいと思うのが先か、暇だったからやってみたら案外楽しくてもっと続けたいと後から感じるのか、それはどちらでも構いません。
先でも後でも「やりたい」という感覚が起こる時点で、心も体も回復傾向にあるということですから。
復職の時期は慎重に検討すること
意欲・願望が現れたところで、すぐに「はい!復職します!」はちょっと待ってください。
この段階ではあくまでも、うつ病を引き起こした要因から離れた状態で沸き起こった感覚です。
職場に戻れば少なからず要因となった事象に触れる機会が訪れます。
その要因に触れても次は大丈夫と思えるか、もしくはその要因すら思い出さないぐらいの感覚でいられないと本当の意味では回復したとは言えません。
やりたい事が見つかって楽しいとか夢中になれるなどのポジティブな気持ちが長く続くようになったら、頭の隅に追いやっていたうつ病を引き起こした要因を思い出して少し触れてみてください。
少し触れてみても胸が締め付けられたり頭痛がしたりといった症状が現れなくなって、初めて克服したと言えるのです。
そうなって初めて復職することが現実味を帯びてくると考えてくださいね。
あくまでも自然と「未来が楽しみだ」と感じられるその時まで、待ちましょう。
まとめ
うつ病を克服したとしても、自身の性格や物事の捉え方はそう簡単には変えることはできません。
つまりは今回克服できても、またいつかうつ病になってしまう可能性は十分にあるわけです。
しかし一度経験したことで、自分が事象に対してどのように捉えがちかということも理解できているでしょう。
またそうなりそうな時に、どのようにしてそのストレスから距離を置いて真に受けないよう対処するかも分かっていると思います。



もしまた同じような状況に陥りそうになっても、自分でコントロールできるということですね!
そうなのです。
もちろん自分の考え方の癖や物の見方など、四角が時々丸になっても良いと柔軟に対応できるよう変えていければもっと楽になると思います。
しかしそれが出来たところでストレスはいつでも誰でも受けてしまうものなので、そのストレスにいち早く気づいて対処できる方が幅広く対応できるのではないでしょうか。
・ストレスから自分を遠ざけることを一番に考える
・うつ病の症状があるうちは復帰時期を定めない
・心身の健康のためにも汗をかく程度の運動をする
・金銭的な計画は家族にも相談し立てておくこと
・会社の休暇や休職制度について自分で確認しておくこと
・経験を復帰後の自分に役立てること
うつ病の実態は実際に経験した人じゃないと、分かりません。
ですから周りに何を言われようと、自分が一番楽な状態でいられる環境を選ぶことが克服の近道なのです。
永遠に辛いままの人生ではないということを、忘れないでくださいね。
