うつ病とは

「うつ病とは」とインターネットで調べると、心療内科の医師やカウンセラーなどの専門家による一般的な答えがたくさん表示されると思います。
しかしうつ病になったことがない人間がそれを読んだところでうつ病について100%理解することは、とても難しいと私は思っています。
うつ病を経験した自分自身、今思えばなぜあんな事でうつ病になってしまったのだろうと未だに納得がいかないからです。
うつ病は一般的に強いストレスによって引き起こされると言われています。
心の健康情報局 すまいるナビゲーター
そのストレスは誰の目にも見えないものであり、本人すら感じることがない時もあります。
そのストレスを全て感じ取って取り除く対処ができれば、うつ病になることはないのかもしれません。
しかしそれが不可能だからうつ病という病気が存在します。
そのうつ病について、どういう症状で現れどのように克服していくのかを、実際にうつ病を経験しうつ病になった部下を対応した私が両者の目線でお伝えしていきます。
うつ病になる人はどんな人か

うつ病と聞くと大抵の人は「心が弱い人なんだ」と感じるでしょう。
しかしうつ病は普段それとは無関係だと感じていた人でも、発症する可能性が十分にある病気なのです。
実際この記事を書いている私もその一人でした。
まずはそのうつ病となったきっかけとそれを受け入れるまでについてお伝えします。
うつ病のきっかけについて
当然うつ病は何かひとつ辛いことがあったからすぐになるというものではありません。
ちょっとした出来事が積み重なってうつ病を認識するようになります。
うつ病のきっかけと言ってもそれが原因だったのだということは後から分かるものであって、その時にはただの感情でしかありません。
仕事でミスをしてしまったとか何年も好きだった人にフラれてしまったとか、そういうショックな出来事があった時に発する感情でしかないのです。
私も最初は仕事におけるミスが続いたことや、プライベートにおける複数の環境変化が重なったというだけの状況でした。

仕事のミスや環境変化は誰にでもある話ですよね。
そうなんです。
その誰にでも起こり得る事象が容易にうつ病を引き起こすきっかけになるのです。
ですからその事象が発生した時は悔しいとか悲しいとかなぜこんなことになってしまったのだろうなど、人間誰しもが湧き起こす感情でしかなかったのにそれがうつ病のきっかけとなるということは、心が弱かろうが強かろうが関係なく誰にでもうつ病を引き起こす可能性があるということなのです。
うつ病は普段の生活の中で発生する事象により、誰の身にも起こり得る病気である
うつ病になる人とならない人の違い
この部分がうつ病を理解できるかできないかの大きな課題となるところじゃないでしょうか?
冒頭でも申し上げた通り、うつ病になる人は心が弱いと思っている人が世の中大半だと思います。
「あの人うつ病で休んでるらしいよ」「あの人そんなにメンタル弱かったっけ?」
きっとこのような会話が普通になされる事が、うつ病に対する一般的な認識だと思います。



僕もそう思っていました。そうじゃないなら何が違うんでしょう?
うつ病になりやすい人の特徴その1
よくうつ病になる人は真面目な人が多いとも言われます。
これについては確かに「真面目な人」と表現しても間違いではありませんが、少し安直に感じます。
では逆にうつ病にならないから真面目じゃないのか?と問われたらそれも違いますよね。
私はうつ病経験者として敢えて厳しい言い方をすると、うつ病になりやすい人の特徴を『物事において、こうでなければならないという完璧主義者な人』と表現します。
良く言えば自分に強い信念があるとか物事に対する考えを確実に持っている人だという事です。
ではこれも、しっかりした考えを持っている人はみんなうつ病になるのか?と言えばそれも違うわけですが・・・
詳しくはのちほど説明するので、まずは私がこれまでうつ病になった会社の部下を対応してきた経験の中で得たひとつの答えだと思っていただければ幸いです。
うつ病になりやすい人の特徴その2
ではその強い信念があり物事に対する確実な意見を持っている人の中で、うつ病になる人とならない人がいるというところの違いはなんでしょうか?
意思が強いということは決して悪い事ではありません。
ある物事に対して自分で考えて自分はこう思うとはっきり言える思いがあり、目標を達成するためにはどう行動すべきかをしっかり明確に出来ている人だとも言えます。
むしろそんな強い意思を持っていれば、うつ病どころか多少のトラブルにぶち当たっても平気で切り抜けていけそうにすら感じますよね。
では何が問題なのかと言うと、ただの意思ではなく『完璧主義』であることと、その思いが『強過ぎる』事なのです。
マイナビニュース
この引用にもあるように、完璧主義は「高い目標を設定して努力する」と言った目標を達成するために自分に厳しく行動していく真面目な人の主義だと言えます。
しかしその思いが強過ぎて過剰にこだわるようになると、達成できなかった時や他人から認められなかった時に大きなダメージを受けてしまいます。
うつ病になりやすい人とは
前章でお話ししたうつ病になりやすい人の特徴は、私が自身も含めこれまでうつ病になった部下を対応してきた中で共通して言えることだと最終的に導き出した答えでした。
うつ病になった人と話していると、なぜそんな風に思うのか?なぜそこまで自分を追い詰めるのか?とびっくりするくらい自分が願う状態に固執しているのです。
それは自分が理想とする状態であったり高いプライドにより自分はこうでなければならないという感情が強いために起きているようでした。
その状態から大きくかけ離れた状況に直面すると、傷付き、悔しさや悲しみ怒り失望などの感情が押し寄せストレスとなってのしかかってくるのですね。



う〜ん・・・自分が理想とする状態に思うように近づかなかったとしても、そんなにストレスになるのでしょうか?
そこもうつ病になるかならないかの大事なところなのです。
その本人が受けたダメージが、当人にとってどの程度大きなダメージだったかというところです。
最初は仕事のミスや自分のしたことが人から認められなかった事などにより、自分が理想とする状態から大きくかけ離れます。
そして真面目に強い意思で目標を定めていた上にこうでなければならないという完璧さを求める事で、自分が予期せぬ状況に身を置くことになってしまうのです。
その理想の状態や目標に対する思いや願いが強ければ強いほど、落差は激しくなりますよね。
要はストレスというのは自分の心が喜ぶ状態との乖離(つまり落差)のことを言うので、落差が大きい=ストレスが大きいと言えます。
よって完璧主義感を強く持っている事柄に対して大きな落差(ストレス)を感じた人が、うつ病を引き起こすのです。
同じ完璧主義でもそれをコントロールし完璧にするべき部分とこだわる必要がない部分を見極めている人は、自身の感情もコントロールできています。
受けたストレスが完璧さにこだわっていた事柄に対してでなければ、一時的に悔しいなどの感情を抱いたとしても時間が経てばリセットされうつ病にまでは発展しないのです。
うつ病を引き起こしやすい人とは、全てにおいて自分の理想通りになることまたミスなく完璧であることを強く意識している人に多いと言えるでしょう。
うつ病の理解されにくい症状


うつ病のきっかけの中でもお話ししましたが、一度大きなストレスを受けただけですぐうつ病ですとはなりません。
違う言い方をすると当の本人がうつ病だと気付いていないからです。
ですのでなんとなく気分が上がらないとかやる気が起こらない笑えないなどの感覚があっても、通常であれば明日になれば忘れているだろうぐらいの気持ちでいると思います。
しかし何日経っても意欲が湧かない感覚が続いている場合や、少し頑張ろうという意欲を取り戻したものの本当にちょっとした出来事によりまた激しく気分が落ち込んでしまうような場合は、すでにうつ病になりかかっていると思って間違いないでしょう。
見た目に出やすいが分かりにくい症状
うつ病には精神症状と身体症状があります。
うつ病というと、詳しく知らない人では精神的な症状をすぐ思い浮かべるのではないでしょうか?
- ⚫️精神症状
-
・気分が落ち込む
・意欲が湧かない
・イライラする
・対象は不明だがやたらと不安に感じる
・仕事に集中できなくなる
・記憶力の低下
・物事に対する考え方が悲観的になる
・楽しいとか嬉しいなどの感情が湧かない - ⚫️身体症状
-
・頭痛がする(ズキズキするような頭痛ではなく頭全体が締め付けられるような頭重感)
・非常に眠くなったり眠れなくなったりして睡眠障害に陥る
・めまいや嘔吐、吐き気
・腹痛
・生理不順
・性欲低下
人により症状も様々で、ここに挙げられたもの以外にもまだまだあると思います。
うつ病の人と接したことがあるという方は、目に見えて様子がおかしいなと気付くこともあったのではないでしょうか?
精神症状に関しては当然ながら他人の目に見えるものではないため分かりづらいと思います。
しかし精神症状が現れている人を気にして見ていると、明らかに笑顔もなく下を向いていることも多く、表情に覇気がない事に気付くでしょう。
普段楽しい嬉しいなどの笑う行為や悲しい苦しいなどの泣く行為をもたらす感情は、脳から発せられる神経伝達物質により起こるものです。
しかしこの神経伝達物質の量が減る事で感情をコントロールするバランスが崩れ、このような精神症状が現れると言われています。
つまりは本人の意思とは無関係に、脳の機能が正常に稼働しなくなることで精神症状は起こっているのですね。
この精神症状は本当に厄介で、心にずっと引っかかるものがあるのにそれが何であるかが分からず考えても答えが出ません。
また新しいことや話が頭に入って来ず「考える」という行為も「判断する」という行為も難しくなります。
脳が正常に働かなくなってしまい作業がおぼつかないという状態にもなってしまうのです。
ですから無理矢理頑張らなきゃと思っても、思うように思考も働かず自分の思いと行動が一致しないことで更なるストレスとなってしまいます。
あれだけテキパキ仕事をしていた人がミスも多くなったし口数も少なくなったしで、周りから見ていると何かあったのじゃないかと感じ声もかけづらくなるのではないでしょうか?
その人の中でそんな精神症状が起きているとは思いもよらず、側から見ている健康な人にしてみればヤル気が無いだとかミスばっかりして何やってるんだよなどと非難したくなるかもしれません。
目には見えない分かりにくい症状
一方で身体症状については、他人には分かりやすいようで分かりづらいものなのです。



うつ病って体にも症状が現れるんですか?
そう、一般的にうつ病の人と関わったことがない人はうつ病は精神的に弱っているということなのでしょ?と大抵の人がそう考えると思います。
もしそれだけであれば、中にはうつ病の初期の段階で抜け出せる人ももっと多くいるかもしれませんね。
しかし苦しいことに気持ちが沈み何かを考えているようで何も考えられずボーッとすることも多くなっている上に、それと連動したように頭全体が孫悟空の緊箍児(きんこじ)にきつく絞められたような痛みが伴うのです。
常に頭の中が痺れているようなジンジンしている感覚です。
その他にも常に誰かに何かを言われるのではないかと怯えたり集中力や思考能力や記憶力といった機能が落ちることで仕事でのミスも多くなったりし、全身がこわばっていることもよくあります。
頭痛はそういうところからも引き起こされるし、これにより重度の肩凝りを伴うこともあります。
しかしこういう身体的な苦痛については、本人が口にしなければ周りは気付くことがありません。
特にうつ病になりかけている人は自分がそうであることを隠したがりますので、自分の状態が悪いことを口にしたがらないのです。



では体調が悪いまま変わらない生活を送っているんですか?
誰にも言えないまま会社や学校へ通い我慢している人がいたとしたら、可哀想ですね。
しかし残念ながらその人がいつもうつむき加減で笑顔もない状態でいると、かえって周りは声をかけづらくなります。
すると本人はみんなが自分のことを責めているなどと思い込み、それがますますストレスとなって症状は悪化してしまうのです。
ですから本来であれば、周りの上司や同僚が当人の状態の変化や様子を気にしてあげて声をかけてあげることが理想なのですが・・・
自分の状態に異変を感じたらして欲しいこと


完璧であることにこだわる人は責任感が強いとも言えます。
そうなると仕事を休むということも簡単にはできないのでしょう。
また弱音を吐くこともしないまま現状を続けようとします。
しかし完全にうつ病になってしまうと、駅へ向かう足が進まなくなり呼吸が苦しくなり訳もなく涙が出ることもあります。
多分どんなに頑張って自然に戻れることを望んでもストレスを受けた環境に居続けた場合、うつ病が治ることはないと思います。
うつ病になった人によく見られる傾向
前章で触れた通りうつ病になってしまった人は、完璧主義であるが故に自分の悪い状態を知られたくないとか仕事ができない人だと思われたくないといった感情が強く、人に弱音を吐く事をしません。
私が過去に見てきたうつ病になった複数の部下たちは、自分から相談に来ることはありませんでした。
全てギリギリまで出社して限界になって会社を休みがちになったのちに、面談をしなくてはならない状態になりました。
そこで初めて体調が悪いことや精神的に辛いという言葉を耳にするのです。
私自身なんとなく様子がおかしいことに気付いてはいたものの「元気がないけど大丈夫?」ぐらいしか声をかけられずにいました。
当人は笑顔もなくハッキリ話すこともなかったので、話してくれなきゃ分からないよと若干イライラ気味な時もありました。
うつ病になった人は、周りにも知られたくないし自分でも認めたくないと、現状を自ら話そうとはしない傾向にあるのです。
うつ病であることを受け入れられること
この記事を読んでいるあなたがうつの症状かもしれないと思っている人であれば、身軽になる事を選択してみてください。
私の場合、選択するも何も最後のストレスを受ける事象があった時は「あ、もうダメなんだ」と考える間もなく退職まで考えるほどでした。
退職しろと言っているわけではありません。
今あなたが持っているプライドや完璧を求める気持ち、必要以上な責任感、気にしている他人からの視線、そういう現在不必要なものを全て捨て「今自分は正常な思考で生活できない状態なんだ」と認めてあげてください。
それは決して恥ずかしいことでもないですし、責められることでもありません。
今の自分の状態を受け入れて認めてあげることで、今は頑張っても自分の理想の状態にすることはできないのだとすんなり納得できるものです。
うつ病の症状が出ている時は、仕事でミスをした分取り戻さないとと頑張れば頑張るほどストレスを上積みしてしまいます。
自分で自分に課している重荷を取り除いてあげることで、まずはひとつのストレスが取り払われ何かに固執していた自分から解放されるでしょう。
ストレスの原因となることから離れること
自分がうつ病であることを受け入れ認めたあとは、その要因となったことから離れてみましょう。
うつ病を引き起こした要因はひとつではなく複数あるかもしれません。
ここでは仕事の中に要因があったとしてお話ししますが、とにかくまずは会社をしばらく休んでください。
全国の企業のお偉い方からそんなこと推奨するな!と怒られそうですが、私はどんなに症状が軽い人にでも一度休むことを一番に勧めてきました。



休むってなかなか言いづらいし周りに迷惑もかけてしまうし、難しいですよね。
その気持ちはよく分かります。
では自分の心身の状態を隠したまま無理に通勤して長い期間同じままの状態もしくは悪化し、ある出勤の朝とても通勤できる状態になかった場合を考えてみましょう。
朝一番に「すみません。本日体調が悪くて出勤できません。」と上司に連絡する事をどう思いますか?
当日もし自分が進行を務める打ち合わせや大事な会議が入っていたら?
もし取引先の方との約束があったとしたら?
そちらの方がよっぽど周りに迷惑をかけ、仕事にも影響が出ませんか?
うつ病とは『私は絶対に休まない』ができない病気なんです。
自分の中の責任感とプライドからどんなに辛くても休まないという意思があったとしても、うつ病は脳の異常により心にも体にも不具合を起こすものであるため、自分の意思とは無関係に動けなくなってしまう事もあるのです。
ですから自分の今の状態をしっかり受け入れて認めてあげれば、会社をしばらく休むこともできるようになります。
要因となっている環境から離れない限り、今のあなたの状態がすぐに改善することはないのだと認識してくださいね。
うつ病の周りにいる人による理解が欠かせない



やっぱり一番心配なのは、周りの人に理解してもらえないという事ですよね。
症状のところでもお話しした通り、表情や行動がなんとなくいつもと違うことは感じ取れたとしても、なぜそのようになっているのかなぜそこまで苦しんでしまうのかを理解してもらうことは難しいです。
ストレスとなった事象は健康な人からしたらさほど大した内容ではないかもしれません。
しかし前に述べた通り事象の重さに関しては、当人がそれについてどの程度思い入れをしていたか、また当人の性格、タイミングなど様々な要因が重なり異なってくるものです。
さらにはひとつひとつは小さなストレスであったとしても、それが積み重なることでうつ病にまで発展します。
うつ病になってしまうともう通常の思考ではなくなるため、常に何かに怯えていたり自分を責めていたりと健康な人には理解できない考え方感じ方をするのです。
ですから周りにいる人には「なぜ?」という疑問を捨てていただき、単純に心の病気とはそういうものなのだと思って欲しいのです。
私ならこう思うのになぁというノーマルな考え方を押し付けたくなる気持ちも分かります。
うつ病になった本人ももちろんみんなと同じようにもっと楽に捉えたいんです。
でも出来なくなってしまっているのです。
自分はこうでありたいという希望通りになれない思考がそこにあるから、苦しいのです。
うつ病本人だって好き好んでネガティブな思考を選んでいるのではありません。
通常の人が何か辛いことがあった時、「まぁまた明日から頑張ろう!」と考え乗り越えようとするところ、うつ病の人はその意欲すら湧かない脳になってしまっているのです。



きっと病気になってしまった人にしか分からない感覚なのかもしれませんね。
その通りなのです。
ですから「理解して欲しい」という言葉自体間違っているかもしれません。
分かりやすく言うと、罪を犯す人の気持ちは理解できないというのと同じで、その本人じゃなければ理解は出来ませんよね。
周りの人にして欲しい理解は、うつ病を治すためにはその要因から離れることが一番の治療だということです。
このうつ病に関する詳しい内容は私が書いた電子書籍で読むことができますので、ぜひそちらもご参照ください。
まとめ


今回はうつ病とはどんなものなのか、実際にうつ病経験者としての視点とうつ病の部下をフォローしてきた経験からリアルな声を綴ってみました。
次回は要因から離れるべく会社を休むことができたあと、どのようにして復帰するまでに至ったかをお話ししたいと思います。
必ず元の生活ができる日は戻ってきますので、今は苦しくても自分の性格を変えるぐらいの気持ちでうつ病と向き合いましょう。
